事業承継 Ⅳ 【相続税・贈与税】【相続・贈与税】
2010年02月25日更新事業承継税制~納税猶予制度の適用要件~
Ⅰ.納税猶予制度の適用を受けるには
相続税・贈与税の納税猶予制度の適用を受けるためには、
以下の要件を満たす必要があります。
Ⅱ.『非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例』の適用要件
1.認定
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づき
『経済産業大臣の認定』を受けること
2.会社の主な要件
次の会社のいずれにも該当しないこと
・上場会社、中小企業者に該当しない会社
・風俗営業会社
・資産管理会社
・総収入金額、従業員数がゼロの会社
3.先代経営者である被相続人の主な要件
①会社の代表者であったこと
②相続開始直前において、被相続人と同族関係者で総議決権数の過半数を保有し、
かつ、後継者を除いた同族内で最も多くの議決権数を保有していたこと
4.後継者である相続人等の主な要件
①相続開始から5ヶ月後において会社の代表者であること
②先代経営者(被相続人)の親族であること
③相続開始時において、後継者と同族関係者で総議決権数の過半数を保有し、
かつ、 これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
5.書類の提出
相続税の申告期限までに、この特例の適用を受ける旨を記載した
相続税の申告書および一定書類を税務署へ提出すること
6.担保の提供
納税が猶予される相続税額および利子税の額に見合う担保を税務署へ提供すること
以上が、『非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例』の適用を
受けるための要件となります。
Ⅲ.『非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例』の適用要件
1.株式の取得
贈与により、先代経営者である贈与者から、全部又は一定以上の
非上場株式等を取得すること
2.認定
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づき
『経済産業大臣の認定』を受けること
3.会社の主な要件
「非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例」における会社の要件と同じ
4.先代経営者である贈与者の主な要件
①会社の代表者であったこと
②贈与の時までに会社の役員を退任すること
③贈与直前において、贈与者と同族関係者で総議決権数の過半数を保有し、
かつ、これらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと
5.後継者である受贈者の主な要件
贈与の時において、
①会社の代表者であること
②先代経営者(贈与者)の親族であること
③役員等の就任から3年以上を経過していること
④後継者および後継者と同族関係者で総議決権数の過半数を保有し、かつ、
これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
6.書類の提出
贈与税の申告期限までに、この特例の適用を受ける旨を記載した
贈与税の申告書および一定書類を税務署へ提出すること
7.担保の提供
納税が猶予される贈与税額および利子税の額に見合う担保を
税務署に提供すること
以上が『非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例』の適用を
受けるための要件となります。
次回は、『納税猶予制度の適用を受ける際の手続』についてご案内致します。
事業承継 Ⅲ【相続・贈与税】
2010年02月12日更新事業承継税制~納税猶予制度の創設~
1.納税猶予制度の創設
これまで中小企業は、事業承継の際の相続税の負担が大きな問題となっており
ました。
そこで、相続税の負担を軽減するため
・中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律 (以下「円滑化法」という。)
・平成21年度税制改正
により、非上場株式にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度が創設されました。
2.納税猶予制度の概要
(1) 相続税の納税猶予とは
①概要
後継者である相続人が、非上場会社を経営していた先代経営者(被相続人)から
相続によりその保有株式等を取得して、事業を継続していく場合に、後継者が納付
すべき相続税額のうち、保有部式等の課税価格の80%に相当する相続税額につい
ては、その後継者の死亡等の日まで納税が猶予されるというものです。
ただし、相続前から後継者が既に保有している議決権株式等を含め、発行済議決権
株式総数の3分の2に達するまでの部分に限ります。
②いつから適用?
相続税の納税猶予制度は、平成20年10月1日以後の相続等について適用されます。
(2) 贈与税の納税猶予とは
①概要
後継者が、円滑化法に基づく経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の代表権を
有していた親族から、贈与によりその保有株式等の全部を取得した場合には、一定
の株式等の贈与に係る贈与税の全額の納税が猶予されます。
ただし、贈与前から既に後継者が保有していたものを含めて、発行済議決権株式等
の総数等の3分の2に達するまでの部分が上限となります。
②いつから適用?
贈与税の納税猶予制度は、平成21年4月1日以降の贈与からの適用されます。
(3)適用を受けるための注意点
① 納税猶予制度は要件・確認事項が多くあるため、見落とさないように注意が必要です。
② 納税猶予の割合が異なります。
相続税 ・・・ 株式総数の2/3に達するまでの部分について、課税価格の80%
に対応する相続税
贈与税 ・・・ 株式総数の2/3に達するまでの部分について、贈与税の全額
③相続税の計算時には、贈与税の納税猶予を受けた株式も相続財産に含めて計算が
行われます。
次回は、納税猶予制度の適用を受けるための要件についてご案内致します。
事業承継 Ⅱ【相続・贈与税】
2010年01月15日更新事業承継税制~遺留分に関する民法特例~
Ⅰ.どういう場面で活用されるの?
中小企業オーナーの相続財産は、自社株式の占める割合がおおく、不動産なども事業用として使っているケースが多く見受けられます。そのうえ、事業の後継者以外にも子供(相続人)がおり、その分配方法が頭痛の種となることも非常に多いです。
このような場面において、中小企業オーナーが
「自分の持っている自社株式を、円滑に後継者に承継したい」
その思いを支援する制度が今回の「遺留分に関する民法特例」なのです。
Ⅱ.贈与株式を遺留分対象から除外する「除外合意」
(1)具体例
社長Aさんが所有する財産・・・自社株式3億円(60万株)のみで他にめぼしい財産なし
社長Aさんの法定相続人・・・長男・次男・長女の3人
社長Aさんが、自社株式のすべてを、後継者である次男に相続させる旨の遺言書を残して亡くなられた場合を例に考えてみましょう。
(2)遺留分減殺請求権
何も財産をもらえなかった長男・長女の立場からすると、文句を言いたくなるかもしれません。それが遺留分減殺請求権です。
では、長男・長女はそれぞれ次男に対して、どのくらい遺留分を請求できるでしょうか。
(答え) 3億円×2分の1×3分の1=5,000万円
次男に1億円の現預金があれば、兄さん・姉さんに5,000万円づつ渡すことで解決しますが、それが無い場合には次男は自社株式から5,000万円相当額(100万株)を兄さん・姉さんにそれぞれ分け与えなくてはなりません。
そうすると、自社株式が分散してしまい、次男は安心して事業を継続・発展させることができなくなります。このような事態を招くことは、社長Aさんにとっても本望ではないでしょう。
(3)除外合意
そこで、遺留分権利者全員の合意内容について家庭裁判所の許可を受けることを条件に、先代経営者から後継者へ贈与された自社株式を遺留分算定の基礎財産から除外することができるようになりました。この場合、長男・長女の遺留分減殺請求は0円となります。
従前からも、非後継者(長男・長女)が遺留分減殺請求権を相続開始前に放棄できる制度はありましたが、今回の特例では後継者(次男)が単独で家庭裁判所に申し立てることができるためより簡素な手続きで株式の分散化を未然に防げるようになりました。
次回は、もうひとつの方法、「固定合意」について解説します。












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