税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

vol.13「企業が倒産するとき」

大手生命保険会社が、急ピッチで保有する不動産や株式の含み益の取り崩しを進めています。
6月30日付けの日経新聞の発表によると、97年3月期の大手生保8社の不動産売却益は2530億円と前年の5倍弱、株式の評価替えによる利益計上額は6006億円と4倍弱に膨らんでいます。これは、不良債権の処理にともない発生する損失額を補填し、配当の原資を確保するためにとられている苦肉の策といえます。
例えば、住友生命は関連ノンバンク向け不良債権を5200億円償却し、それと同時に不動産の売却益と生命保険会社に認められている株式評価益を5020億円計上し、さらに、有価証券売却益で3099億円計上しています。このような操作によって会計上は利益が計上でき、配当の原資も確保できることになるわけです。
日本の金融機関の含み益に頼らざるを得ない経営は今後も続くものと思いますが、実はこれには非常に大きな危険性が潜んでいます。金融機関を含め会社といわれるものが倒産するのは「赤字」によってではなく、現金化できる流動資産が、現金として支払わなければならない負債に応じ切れない時に起こるのです。この非常に単純な原理が忘れられ、単なる会計上の利益のみで与信がはかられることが、大変怖いと思うのです。含み益を吐き出すということは、その結果税金として社外流出することを意味します。
同時に不良債権を処理をしているからよいではないかという議論がありますが、問題は、利益を出さなければいけないという宿命から、益出しに見合う分しか不良債権の償却が進まないということです。
中小企業の経営者のなかには、一時にそういった不良資産を整理し、赤字を繰越ながら税金の社外流出を将来にわたって抑え、財務体質を改善する感覚を身につけておられる方がたくさんいます。企業が倒産するときは「流動性が枯渇するときである」ということを身をもって感じているのです。
「でもね、川端さん、赤字やと銀行が融資してくれないんですわ。」そういった中小企業の経営者のぼやきを聞くにつけ、経営力で評価する能力を、自ら評価される立場として金融機関に求めたいと感じるのは私だけではないはずです。

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2003/09/17

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