税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

自社株すべて相続可能に?

-----------------------日本経済新聞12月3日--------------------------

中小企業の代替わりの際の事業承継を円滑にするため、政府が来年の通常国会に提出する 中小企業事業円滑継続法案の内容が2日、分かった。

自社株の株主が多くなると経営に支障が 生じやすくなることを考慮し、家庭裁判所の認可などがあれば後継者がすべて相続することも できるようにするのが柱。

通常国会で成立すれば、来年10月をメドに施行する。

 中小企業の後継者が相続税負担や他の相続人が最低限主張できる取り分(遺留分)への支払い などのため、事業を手放し、廃業するケースは少なくない。政府は事業承継を支援しなければ、 中小が持つ高度な技術が失われかねず、雇用対策にもマイナスと判断した。
------------------------引用はここまで--------------------------------

これってなんのことか非常に分かりにくいのですが、最近にない大幅な「事業承継」に関する改正案です。

具体的に説明しましょう。

例えば、父である会長が亡くなって、社長である息子がその会社を引き継ぐとしましょう。

会社を引き継ぐということは、その会社の株の過半以上をその息子が相続するということになります。

仮に、この会社の株の評価が9億円で、その他の財産は預金が1億円で合計10億円、相続人は長男と長女の2人とします。

そして、長男に、この会社の株をすべて譲ると遺言したとします。

現在の民法では、この場合、長女は法定では50%相続する権利があり、遺言があったとしても法定相続割合のさらに50%、つまり、50%×50%=25%(4分の1)を相続する権利があります。

そうすると、この場合、長女は10億×1/4=2.5億円相続する権利があり、預金1億円もらってもあと1.5億円もらう権利があるわけです。

長男が現金1.5億円用意できれば良いですが、相続税の負担もありますので、銀行からお金を借りて長女に支払うことになります。

このようなことから、事業承継の意欲がなくなり退職金をとって廃業したりするケースが出てきているわけで、雇用対策上も大きな問題であったわけです。


そこで、今回の法案では

1、経済産業省が認めた後継者が他の相続人と金銭での対応などで合意して家庭裁判所の認可を受ければ、基礎財産から生前贈与された自社株を除外することができる。

 つまり、基礎財産から株を除外して遺産分割をすることができる、ということだと思います。

2、上記に該当せず、基礎財産に含める場合でも、後継者が生前贈与を受けた時点での評価で基礎財産の価格を算定できる。

 これは、現行の民法は、贈与時でなく相続時における時価でもって評価して、遺産分割の基礎財産とみなすため、贈与を受けたあと評価があがれば、あがった評価で計算されないように改正されるわけです。

 贈与を受けたあと後継者ががんばって株価があがり、それが遺産分割の計算基礎になる「理不尽さ」を解消することが狙いなわけです。

さらに、
 税制面では、非上場株の評価を一定の要件のもと、8割減額する。

加えて
後継者以外が保有する株式を取得するときには政府系金融機関が『低利融資する』などMBOなどがやりやすい環境を整えるようです。

いずれにせよ、中小企業の事業承継に関して、大幅に改正される2008年になりそうです。


京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2007/12/12

  • 税金について

税理士川端雅彦コラム(一覧)へ戻る

まずは私たちと、ご飯でもどうですか?
私たちと一緒に働いてくれる方募集中

会社情報

ABOUT US

0120-129-353

受付時間:9:30~17:00(月~金)

Fお問い合わせ

〒600-8411
京都市下京区烏丸通四条下る水銀屋町620 COCON烏丸5F
対応地域:京都、滋賀、大阪、兵庫、奈良

xアクセス

地図

ACCESS MAP

page top