税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

1兆ドルの不作為の作為

財務省が7日発表したところによると、2月末の外貨準備高は、1月末に比べて119億3700万ドル増えて1兆79億8100万ドルとなり、初めて1兆ドルの大台を突破しました。

1兆ドルを今日の為替レートで、円に換算すると102兆円にもなります。

102兆円もの資産を日本国が保有するのだから、リッチな気分になってしまいそうですが、外貨準備は政府短期証券を発行して調達しているため、その膨張は国の債務拡大の裏返しでもあるわけです。

つまり、国民から円を借りてきてドルを保有しているわけですから、「円高」になるとドルの価値が下がるわけで、下がった分だけ「国民負担」が増えることになります。

ついこの前まで1ドルが108円ぐらいであったわけですから、108兆円が102兆円と6兆円目減りしたわけです。

つまり、今の円高を指をくわえて眺めながら、何もしないとすると、今後もどんどん価値が目減りして、国民の負担が増えてしまうわけです。

話は変わりますが、先日、薬害エイズ裁判で最高裁が元厚生労働省の官僚に対し、過失責任を認める判決を下しました。判決の理由に、やるべきことをしなかった責任「不作為の作為」があったものとし、それを問われたわけです。

つまり、官僚の職務怠慢が罪になったわけで、かつ、官僚個人の責任が問われたと言う意味で画期的な判決だったわけです。

これと同じように、1兆ドルの外貨が毀損するかもしれない可能性を知りながら、指をくわえて何もしないなら、財務省のお役人もこれと同じ罪に問うべきであると言うのは、酷なのでしょうか?

もちろん、1兆ドルの外貨をユーロや他の通貨で運用することを表明したとたんに、ドルが暴落するかもかも知れない危険性をはらんでいますが、かといって放置することも許されないでしょう。

財務省の官僚が、社保庁や厚生労働省の官僚とは一味違う、官僚の中の官僚と言われる腕前を拝見したいものです。


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2008/03/10

  • 雑感

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