税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

収益向上のための「値決め」を再考する

 表題とは全く違う話ですが、4月15日の日本経済新聞で報じられた「非上場株の相続評価見直し」は、中小企業の事業承継に大きな影響を与える可能性があります。今回の見直しの本質は、これまで実務上広く行われてきた“評価引下げによる節税”に対する是正にあります。

 この見直しの背景として、非上場株は市場価格がないため、財産評価基本通達に基づき算定されますが、類似業種比準方式などを用いることで、実態より低い評価額となるケースが多く見られました。その結果、純資産価額方式との間で大きな乖離(中央値で約3.7倍)が生じるなど、公平性の問題が指摘されていました。


 こうした状況を受け、国税庁は評価方法を見直し、過度な節税を抑止する方針を示しています。

 この見直しによる影響として、第一に考えられるのが、「相続税負担の増加」です。評価額が引き上げられれば、株式の相続税も増加し、後継者の資金負担が重くなります。これにより、納税資金不足による株式売却や経営権の分散リスクが高まります。

 第二に、「事業承継のハードルが上昇」することです。これまで評価引下げを前提に設計されていた承継スキーム(持株会社化、資産分散など)の有効性が低下し、従来型の対策が通用しにくくなる可能性があります。

これらを踏まえた実務対応としては、以下が重要です。

早期に承継対策を立てる
改正前のルールが適用されるうちに、評価を引き下げ贈与・相続を前倒しすることが必要となります。同時に事業承継計画をできるだけ早い内に策定する必要性が、より一層高まってきたと言えます

納税資金対策の強化
納税資金を確保するために生命保険の活用や、退職金の支給限度額拡大のための役員報酬の見直しなどを考慮する必要があります。

 いずれにせよ、相続税負担の増加による事業承継の難易度が、ますます増加していくことになるだろうと想定されます。

 一方で、経済環境は、アメリカとイランの戦争にともなう石油価格を含めたあらゆる物価の上昇と、それに伴う金利の上昇、並びに人件費上昇が同時進行する「コストインフレ型」の局面に突入しました。

 この環境下では、従来の“コスト削減中心”の経営では限界があり、価格を含めた収益構造の再設計が不可欠です。

企業利益は「①客単価 ×②客数 −③変動費 −④固定費」で決まるため、4つの変数への対応を漏れなく実行する必要があります。

 この中でも、最も企業の利益に対するインパクトが大きいのは、客単価であります。

 このようなインフレの環境下においても利益を出している会社の特徴の一つは「価格決定権」を持っているということです。

 ところが、中小企業においては、この価格決定権を元請けや消費者に握られているところが多く(というより、そのように思い込んでしまっている)、そう簡単に値上げをすることができないケースが見受けられます。

しかしながら、私共が見た限りにおいては、余程のコモディティーと言われる製品、サービスを提供していると以外は、念入りに戦略を考えることにより、価格改定を実現し、収益を改善しているところも多くみられます。

 そういった企業は単純に値上げするだけでなく、隣接サービスを付加したり、品質を向上させるなどの努力を惜しまず実行しています。

 加えて、昨今では、価格改定に対する人々の意識が変わってきており、供給者側の意識も変えるべきフェーズに突入したと言えると思います。

 それを踏まえても実行が難しいなら、稼働率を上げるために営業を強化することが、残された選択肢ではないかと思います。

 令和8年4月15日

アイネックス税理士法人

代表 川端雅彦

京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2026/04/15

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