税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

企業は環境適応業である

2025年は、我々経営者にとって変わらないと生き残れないという環境が出現した特異点であったのではないかと思います。

 例えば、デフレからインフレ環境が常態化したことに伴い、日銀が金利を引き上げるという「金利のある世界」の出現。

最低賃金が2030年には1500円まで引き上げられるという人件費の急上昇と、人材不足。

さらには、孫正義氏らが予測する「10年以内に人工知能が、全人類の英知の総和の10倍を超える。」というAIの進化。

 このことは、余力のある企業がAIを含めた投資を先行し、人材を引き付け、さらなるシェアーを拡大するという二極化をもたらすことになろうかと思います。

中小企業にとっても、生産性を向上させることは待ったなしの状況に突入したことを意味し、できなければ市場から退出せざるを得ないということを意味します。

こういった環境下、米国では、例えば配管工が医師よりも給料が高いという「ブルーカラービリオネア」と言われる職人の人たちが数多く出現しています。こうした技能工は、必ずしも10億ドル単位の収入があるわけではありませんが、一般のホワイトカラーの稼ぐ機会が減少する一方で、ブルーカラーの労働者が金持ちになるチャンスが膨らんでいる状況が生まれています。



それを象徴するように職業訓練校への志望者が増加しています。


つまり、AIには代替できない、技能を習得し経験を積んだ配管工や自動車整備士など、日本の職人に相当する技能工への需要が高まっているわけです。

なるほど、それぞれの家の事情に合わせて張り巡らされた配管や、分解してみないとわからない自動車の修理などはAIに代替えできないわけで、こういった仕事は単純化されたものを除いて、価格競争に巻き込まれづらい分野であるわけです。

米労働省の統計ではブルーカラーの仕事で賃金が最も高いのはエレベーターとエスカレーターの設置・修理工で、年間所得は中間値で10万6580ドル。日本円にして1600万円に上るそうで、この職業の学歴は高卒が普通となっています。

もっとも、こういった仕事の受注を受けるためのマーケティングは、彼らの不得意とするところであり、これらの仕事の受注・発注という仕事はホワイトカラーの人たちがAIなどを駆使しながら支援するという、新たなビジネスチャンスが出現する可能性はあります。

いずれにせよ、生き残りをかけて、現在のビジネスにAIなどを駆使して生産性を向上させ、浮いた時間で、より高い品質を追求し、AIで代替えできない強固な顧客関係性を作り上げる。あるいは、AIを駆使し、新たなサービスを作り上げる、もしくはAIに代替えされない職人と言われる分野などに参入するという選択が求められる時代に突入したと言えます。

企業は突き詰めると「環境適応業」であり、環境の変化に応じて自らも変化することは、いつの時代にも共通する生き残りの法則であると思うのです。

2025年も残すところ、あとわずかとなってまいりました。

2026年も引き続き、ご支援、ご鞭撻をお願いいたしまして、今年最後のコラムとさせていただきます。

今年も1年間ありがとうございました!

令和7年12月15日

アイネックス税理士法人

代表社員 川端雅彦

京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2025/12/16

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