税務情報ヘッドライン

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リース取引の税務・会計処理のポイント—?—

連載にてリース取引の税務・会計処理のポイント解説を行っております。
今回は最終回として、リース取引の実務にて生じた様々な疑問をQ&A形式にて解決します。

1.


Q.
今回リース取引の改正について、その経緯を教えて下さい。
A.
今回のリース取引の改正は実質的には、所有権移転外ファイナンス・リース取引の改正となります。
所有権移転外ファイナンス・リース取引の改正前会計基準では、売買処理を原則としつつも、一定の注記を要件として賃貸借処理を例外として認めていました。(これに伴い税務上も賃貸借処理を容認。)
しかし、実務上99%の企業が例外処理である賃貸借処理を採用しているという異常な状況や、会計基準の国際的な統合の動きを受けて、所有権移転外リース取引を原則の売買処理一本に見直すこととなったのです。

2.


Q.
少額・短期のリース取引や中小法人のリース取引については従来の賃貸借処理が認められるということが書いてあったのですが、弊社は一般的な中小企業の分類だと思います。
ということは、今後も従来通りの処理で何ら実務的に問題はないということでしょうか?
A.
そもそも、中小法人に賃貸借処理が認められるのは、中小法人がリース会計基準に準拠することが、法令上強制されていないためです。(注)
しかし、上記の場合に従来の賃貸借処理が認められるというのは、あくまでも会計上の話であって、税務上では賃貸借処理は認められません。
税務上は売買処理が適用されるため、リース資産引き渡し時に、資産計上し、減価償却を行うことと、消費税の総額を認識する必要があります。
これにより、会計上賃貸借処理をした場合、税務上との取扱いに差異が生じてしまいますが、会計上賃借料として計上した金額は、税務上の減価償却費として取扱われることとなっているため、基本的には、差異が生じないようになっています。(減価償却明細書の提出も不要。)
よって、ご質問の場合、従来通りの賃貸借処理で問題ありませんが、消費税の取扱いには注意する必要があります。
(注)リース会計基準の適用が強制される企業
?金融商品取引法(証券取引法)が適用される会社及びその子会社や関連会社(上場会社等)
?会社法上の大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上である会社)
?会計監査人設置会社及びその子会社

3.


Q.
9万円のパソコンを所有権移転外リースにより取得した場合、資産計上されるため、これを10万円未満の少額減価償却資産として、全額費用とすることはできるのでしょうか?
A.
税務上、10万円未満の少額資産や20万円未満の減価償却資産につき、一括で損金算入ができる取扱いがありますが、ご質問のリース取引の場合にはその適用がありません。
そのため、少額であっても、資産計上をして減価償却を行わなければいけません。
ただし、中小企業者等の30万円未満の少額減価償却資産の特例については、取得事業年度の損金経理要件を満たせば適用があるため、全額費用とすることも可能となります。

4.


Q.
所有権移転外リース取引が、原則売買処理となりましたが、リース税額控除や、特別償却、圧縮記帳の適用関係はどうなるのでしょうか?
A.
リース税額控除、特別償却,圧縮記帳の適用はありません。
これは、所有権移転外リース取引で取得したリース資産には,リース期間終了後に借手に所有権が移転しないことなどから,「実質的に取得された資産」ではないと取扱うからです。
ただし,所有権移転外リース取引で取得したものとされるリース資産にも,通常の売買取引ベースの税額控除の適用はあります。
税額控除割合は,中小企業投資促進税制の場合,通常の取得で「取得価額×7%」,リース税額控除では,「リース料総額×60%×7%」とされていることから,売買とみなされて取得と同様の控除割合で控除税額が受けることができるのは,借り手側に有利な規定といえます。

5.


Q.
税務上契約書上にて利息相当額が区分されている場合には、利息部分と本体部分とに区分することができるようですが、区分した方が良いのでしょうか?
A.
御質問の取扱いは、あくまでも企業の任意となります。
ちなみに、利息部分が区分されている場合には、以下のような影響があると思われます。
?消費税法上、利息部分は非課税仕入となるため、仕入税額控除ができません。
?外形標準課税の適用を受ける企業の場合、区分された利息部分は課税標準である、付加価値割に含まれます。
よって、外形標準課税の負担が増加します。

6.


Q.
今回改正により、資産計上された所有権移転外リース資産の固定資産税について、申告・納税を当社で行わなければいけないのでしょうか?
A.
行う必要はありません。
固定資産税(償却資産税)の納税義務者は,所有者
と規定されていることから,所有権が最終的に移転しない、所有権移転外ファイナンス・リースは、改正後も,所有者である貸手のリース会社が申告や納税を行うことになります。
以上、三回にわたり、リースの取扱いについて解説させていただきました。
適用が平成20年4月1日以後に契約締結をしたリース取引のため、まだ対応に追われている企業もあると思われます。
この三回の税務情報が、少しでもそのような関係者の皆様のお役に立てばと思います。

京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2008/06/30

  • 法人税

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