税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

vol.7「和を以って貢献とする」

日本とはなにか、日本人とはなにかと問われたとしたら、多くの人は言葉に詰まってしまう。
私達、日本人は、生まれたはるか前から日本という国家、伝統を引き継いで生きており、欧米のように自ら国家を作り上げた意識が少ないがゆえに、自分自身と国家について余り深く考えた事がないからである。
そして、今、日本のかつての良さであり、日本の成功要因であったものがグローバルスタンダードとの軋轢の中で、日本は閉塞状況に陥り、日本全体が自信喪失に陥っている。
しかし、日本ほど、世界政治・経済・文化のなかで、果たすべき役割が期待されている国はないのである。それは、世界が日本をどう見ているかによって明らかになる。
ピータードラッガーは、最近の著書「明日を支配するもの」のなかで、「この50年間、政治的には、共産主義とソ連の崩壊が最大の出来事だった。これに対し、経済的には経済大国としての日本の興隆が最大の出来事であった。未来への影響という点では、後者の方がはるかに意味が大きい。(中略)私は、これまで、「世界史」を生み出したものは日本の明治維新だったと繰り返し言ってきた。それまでの世界史は、西洋の歴史、とくに覇権の歴史であった。」とし、「今日の「世界経済」を生み出したものが、最近における経済大国としての日本の興隆だった。」としている。
考えてみれば、日本は1200兆円の個人金融資産を持つ世界一の債権国である。
橋本前首相が、訪米の際「円をアメリカの国債から引き上げる」と連想させた途端、ウォール街はパニックに陥ったのである。また、経済戦略会議でも言及されているように半導体や液晶、精密機械などの製造業分野においては、中小企業も含めて世界有数の技術力を持つ企業が少なくない。諸外国と比べて高い教育水準に裏付けられた優秀かつ勤勉な労働力の存在等、わが国経済を支えてきた発展の基礎はいささかも崩れていない。ところが日本人は、自らの肖像を、必要以上に小さく、そして醜く描く性癖がある。充分過ぎるほど大人で発言力があるのに、まるでいじめられっ子のように振舞ってしまう。
もう一つ例を挙げてみよう。92年にマレーシアのマハティール首相が香港で行った「もし、日本なかりせば」の演説である。この演説は、欧米人が最も聞きたくないことを直言したものであり、演説が進むに連れ、欧米人が次々と席を立ち会場を出ていったものである。
「(中略)ヨーロッパとヨーロッパ社会を移植したアメリカはともに、様々な手段を使って東アジア諸国の成長を抑えこもうとしてきた。西洋の民主主義モデルの押し付けにとどまらず、あからさまに東アジア諸国の経済の競争力を削ごうとしてきた。
これは不幸な事である。東アジアの開発アプローチから世界は多くのことを学んできた。日本は、軍事主義が非生産的であることを理解し、その高い技術をエネルギーを、貧者も金持ちも同じように快適に暮らせる社会の建設に注いできた。質を落とすことなくコストを削減することに成功し、かつては贅沢品だったものを誰でも利用できるようにしたのは日本人である。まさに魔法も使わずに、奇跡とも言える成果を創り出したのである。
日本の存在しない世界を創造してみたらよい。もし日本なかりせば、欧米が世界の工業国を支配していただろう。欧米が基準と価格を決め、欧米だけにしか作れない製品を買うために、世界中の国はその価格を押し付けられていただろう。」
続いて、日本との競争がなければ、労働組合が妥当だと考える賃金をいくらでも支払い、コスト上昇分を価格に転嫁し、買い手が北側の欧米諸国しかない、南側諸国の原材料品の価格は、低水準に固定される。そのことが、南側諸国を不利に陥れ、融資と援助の結果「債務の奴隷状態」に陥る、と語っている。
そして、「一般的に、南側諸国は今より相当低い生活水準に強いられることになるだろう。(中略)多国籍企業が安い労働力を求めて南側諸国に投資したのは、日本と競争せざるを得なくなったからに他ならない。(中略)また、日本と日本のサクセスストーリーがなければ、東アジア諸国は模範にすべきものがなかっただろう。ヨーロッパが、開発・完成させた成長分野では、自分達は太刀打ちできないと信じ続けただろう。〜したがって、西側が懸念するような「虎」も「竜」も、すなわち急成長を遂げたアジアの新興工業経済地域も存在しなかっただろう。」と語っている。
このように近代的ではあるが、西洋的ではない日本が世界経済に及ぼした影響、というより貢献は、我々の創造をはるかに超えるものなのです。
そして、「この近代史の奇跡」ともいえる発展を遂げた日本の国民性の本質は「和を以って尊しとなす。」であるように思います。言葉を変えれば「調和」であり、西洋の「征服」と相対立する概念です。身近な例でいえば「桂離宮」と「ワイキキビーチ」の違いです。ワイキキへ行くと、よくここまで、人工的に自然を征服したと感心すると同時に、桂離宮へ行くと、自然との調和に感心させられます。
紫式部から三島由紀夫まで多くの日本文化紹介番組を作り、作家としても著名なオリヴィエ・ジェルマントマは、「日本の若者が祖国の文化の豊饒を十分に知らず、いや、日本そのものが偉大な独立国家にふさわしい役割を国際の場で果たそうとしないありさまを見て、(中略)私は驚きと失望を禁じえない。」と言い、「現代人をして守銭奴以外の何者かたらしめるためには世界は日本を必要としている。」理由として「日本には、風と木々の生きた気配を感ずる文化がかろうじて残っている。しかし、それ以外の国々では、科学の進歩の過程で、人間と天との間に有史前の最も遠い昔から結び合わされてきた絆が失われてしまった。」からである、と述べています。
そして、風と木々の生きた気配を感じる事のできたインディアンを滅ぼしたアメリカを、現代文明のモデルとしていることに、警笛を鳴らしています。
私は、日本がこのままで良いとは思いませんし、「健全で創造的な競争社会」をつくるために、様々な改革を否定するものではありません。しかし、ここで紹介した日本人でない識者が、いみじくも指摘しているように、日本型の「調和」を重視した政治経済モデルがあってもよいと思います。
「私は、日本が今日の問題に独自の解決策を見出し、近代的ではあっても西洋的でない日本として.この転換期を乗り越え、再起することを期待している。世界には、もうこれ以上の均質性はいらない。必要なのは、多様なモデル、多様な成功、多様な価値観である。(P・ドラッガ−)」
この期待にこたえることが、世界に対する最大の貢献であり、もう一度日本の良さを勉強しようと、次世代を担う若者?として、発奮しております。

2003/09/17

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