税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

vol.20「経営者の器」

前回のコラムで、「失敗を許容」し「権限委譲」することが人材育成に不可欠であると書きました。
よく、会社は経営者の器以上に大きくならないといいますが、換言すれば「権限委譲」できた分だけ会社は大きくなれるということです。なぜなら、経営者一人でできる事は限られており、優れた組織ほど現場が自律的に意志決定し顧客満足の向上を通じて利益をもたらしてくれるからです。
そして、権限委譲をする際に見落としてはいけないことは、その本質は「賭け」、つまりその社員に対する投資であるということです。投資であるからには失敗はつきものです。「賭け」ということは、失敗の責任は賭けた側にあり、権限は委譲できても責任は委譲できないのです。ところが、「任せたのに失敗した、或いはやらなかったのはお前が悪い」「まだまだ任せられるだけの実績が無い」「言うことは判るけど、そんな人材はいない。」といった話を良く聞きます。私も経営者として、これは痛いほど判りますが、この議論は半分正しくて半分間違っていると思います。
かつて、ヤクルトの野村監督(だったと思います)が「4番に抜擢すれば4番打者らしくなる」と言い、いわゆる抜擢人事の効用を述べておられましたが、これもまさか、「サッカーの三浦カズを4番にすればそれらしくなり活躍してくれる。」ということを言っているのではないと思います。こう考えると、話はややこしくなりますが要するに「賭ける値打ち」のある人を見極め、失敗してもよしと腹を括ることです。もちろんこれは任せっぱなしで、放任するということでなく、定点的に観測しその都度、一緒になって考えるという作業が必要です。また、賭ける値打ちのある人とは「火中の栗を拾いたがるタイプ」で「知的好奇心」が高く、現状保有している能力より、むしろそういった資質によって判断したほうがよいと思います。なぜならそういうタイプの人間は、任せられた機会を通じて自己の責任で能力開発を進めていくからです。だから、リスクをとる価値があると思うのです。
松下幸之助は、人をやる気にさせる天才といわれていますが、時として中堅中小企業の経営者の中にもきらりと光るこの手の達人がいらっしゃいます。考えてみると松下幸之助はじめ、その人達も、創業時において実績も信用もない状態から、情熱やビジョンなどで、投資家に「この人に賭けてみよう!」と腹を括らせたのであり、自らの体験として賭けをしてもらったときにどれだけ自分が燃えたかを知っているのではないかと思います。どんなにすばらしい、経営戦略があったとしても、その具現化は「人材」に依存しているのです。
経営者の器は、どれだけその人に「賭ける」ことができるかにかかっているのではないかと、改めて感じています。

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2003/09/17

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