あっぱれな経営者の方々
中小企業において、「Me too」ではない差別化された独自の技術や製品を開発することは、資金面や人的制約があり容易ではありません。
しかしながら、そういった環境下においても、大胆に設備投資や技術の導入を行い奮闘している弊社のお客様である企業を紹介します。
まず、京都府宇治市にある角井食品という会社です。
この会社は、過日NHK京都にて、その先進的な技術について取り上げられました。
角井食品は、コンビニのお弁当やサンドイッチなどを製造販売している会社ですが、通常そういったお弁当は1~2日が賞味期限となっています。
ところが、この会社では、急速冷凍という技術を採用して、なんと「賞味期限が1年」というお弁当を製造しています。
社会的な問題である食品ロスは、年間523万トン(令和3年度調査)にも達しており、国民一人当たりに換算すると年間42kgにもなります。
角井食品をはじめとする、急速冷凍技術がこの世に広まれば、多くの食品廃棄ロスを削減することができるという点で、より一層普及することが望まれます。
さらに、形がいびつで出荷されることなく堆肥として処理されている野菜や果物を集め、ミキシングし、それを熱処理でなく「食品用超高圧処理機」を使用して消費者に届けるという「ミオサイ」という商品も製造されています。
この高圧処理機は、水深5万~6万メートルの圧力を食品にかける機械のことを言いますが、この処理をすることにより細菌や微生物の活動を減退させ、長期保存が可能となります。また、熱処理とは違い、この高圧処理の場合は、その食品が持っているビタミンなどの栄養素を壊すことなく消費者に届けることができるので、鮮度が劣化することがないという一石二鳥の効果も得ることができます。
こういった加工技術により、環境にやさしい食品が世に広まることを期待したものです。
さて、次に紹介するのは、日本ニューロンという、社会インフラとなる水道管やガス管などを製造している会社です。
この会社の製品の画期的なところは、送水管どおしをつなげる部分を蛇腹(じゃばら)状のステンレス製の筒で覆い、地震などがあっても決壊しないのです。
2024年に起きた能登半島地震でも、水道管の破裂による断水により、11万戸もの住民がトイレの水も流せないという生活を余儀なくされたことは記憶に新しいと思います。
もう少し遡ると和歌山で2023年に起きた水道橋の崩落により6万戸が断水の被害にあわれました。これを踏まえて、和歌山市では、日本ニューロンの製品を採用し安全で安心な水道供給を目指すとのことです。
私たちが、当たり前のように使っている水道やガスが、これからも当たり前のように使えるようになるということで、この製品が日本全国、いや世界中に広まっていくのを期待したいものです。
最後に、2023年に東京証券取引所スタンダード市場に見事上場された、株式会社魁力屋です。
私が紹介するまでもなく「ラーメン魁力屋」は、現時点で全国152店舗を展開しており、皆さんも食された経験はお持ちの事と思います。
この会社の創業者である藤田宗社長は、もともと全く違う事業を経営されており、ラーメン業は、いわゆる異業種への参入でありました。
京都は、有名なラーメン店がひしめく激戦区であり、上場までのプロセスに様々な困難があったことは想像に難くありませんが、目標から逆算して今を実行するというお手本のような経営者としての強い意志と、行動力を兼ねそろえておられます。
また、どのお店に行っても、そのスタッフが元気よく、周りに配慮しながら生き生きと働いている姿を見て、すごく教育が行き届いていると感心してしまいます。
きっと、ラーメン魁力屋で働くことを誇りに思っている人たちなのだと思います。
魁力屋のラーメンの一ファンとして、日本のみならず、海外進出も果たされる予感がして、今後の更なる発展に期待を膨らませています。
今回は、企業紹介という話題になりましたが、いずれの経営者も、事業を通じて社会の課題を解決するのだという「意志力」を会うたびに感じ取ることができます。
それぞれにあっぱれな経営者であり、私も見習おうと心を新たにした次第です。
令和6年6月
アイネックス税理士法人
代表 川端雅彦
2024/06/11
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