税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

現場力を高めるということ

少し前の話になりますが、経営者の人たちの勉強会の飲み会の席で、ある女性経営者が「昨日、誕生日だったんですよ!」と発言され、他の同席した参加者から「おめでとう!」を祝福されていました。お店の方も、にこやかに「よかったですね!」と声をかけられていました。

そして、時間がたち、テーブルの上の料理もほぼ食べつくし、そろそろデザートのころ合いになりました。

その時、突然明かりが消えて何が起こったのかと思った瞬間、お店の方が、「おめでとうございます!」と、火のついたローソクを立てたお誕生日ケーキを、プレゼントしてくれたのです。

お誕生日だったその方は、もちろん感動しておられたのですが、だれがこの企画をしてくれたの?という話になりました。幹事だった人は、その女性経営者の誕生日を知るすべもなく、他の人も肩をすくめて「知らない…」という面持ちでした。

しばらくすると、お店の方が「先ほど、お誕生日のお話が出ていたので、サプライズな御もてなしをさせていただきました。」と言うではありませんか!

この宴席は個室で、店の責任者のある方が見ていたわけでもないので、現場に立っていた、そのスタッフが、自身の判断で、(店長にかけあったのかも知れませんが)こういう感動の瞬間を演出していたのです。

このことが又、驚きで、出席していた他の経営者の方々も、この現場における臨機応変さに感心されていました。

サービス業において、お客様の距離が最も近いところにいる人たちが、裁量の範囲において、このような配慮をすることは、顧客満足度を上げるうえで、とても大切なことだと思います。

サービス業に限らず、製造業においても、現場で働く社員が主体的に課題を発見・解決する能力である、いわゆる「現場力」を高めることは、組織のパフォーマンスに直結する非常に重要なことだと思います。

この現場力とは具体的には、裁量と自律、そしてミッションの共有があげられます。

現場力を高めるには、現場に裁量権を与え、上司の指示や決裁を待つのではなく、自ら主体的に動くことを促さなくてはなりません。

このような主体性を持ってもらうには、今まで指示に基づいて行動をしてきた人たちの意識を変える必要があります。

また、意識改革は一朝一夕にはできませんが、ボトムアップにより、いかに現場の生産性を改善し、顧客満足度を上げるのかという意見を述べる機会、聞く場を、日ごろから作り、意識改革を図る必要があります。

そして、実際に現場力を発揮しなければいけない状況に遭遇したときに、単に指示を出すのではなく「君ならどう考え、どう行動する?」という質問を投げかけ、自ら考えて行動するという自律性を習慣化させることが必要です。

加えて、どう考えるのかという「考えるもととなる基準」を指し示し、共有する必要があります。

自社がお客様にどのような価値を提供するのか、そのために絶対に曲げてはいけないものは何か、あるいは、その為なら犠牲にしてもいいものは何か、などの考え方をそろえなければ、その行動が企業ポリシーに合致しなくなります。

これが、いわゆるミッションと言われるものであり、共通認識として繰り返し浸透させる必要があります。

優秀な「頭脳」とその指示を、正確・迅速に実行する「筋肉」のような形で組織を運営することは、環境の変化があまりない状況下ではうまく機能します。

しかしながら、常に変化する環境下、あるいは変化を求める組織であろうとするなら、この「現場力」を高めなければ、組織のパフォーマンスは上がりません。

そして、このことが「できなかったことができるようになる」ことにつながり、社員の成長を促すことにつながるのです。

いい組織には、良い現場力が備わっています。そしていい現場力が備わっている組織の顧客満足度は高く、収益性も高くなると思うのです。なぜなら、私も、もう一度あの店へ行ってみたいと思うようになったのですから。


令和5年3月4日

アイネックス税理士法人

代表 川端雅彦

京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2023/03/07

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