税務情報ヘッドライン

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贈与税の時効について考える。

贈与税の時効は申告期限から6年(偽りその他不正があった場合は7年)とされています。

今回は贈与税の時効について、事例をもとに考えてみてはと思います。


1:以下は贈与税の時効により課税にならなかったケースです。

株式の投資に失敗した子Aは昭和63年に2億円の借金をしました。
製紙会社である親のオーナーは、親の口座から子Aの口座に2億円を振り替え子の借金返済に充てます。

また子B・子Cがそれぞれ投資に失敗し平成3年に借金10億円・平成2年に借金20億円を負い、
親の援助を受けながら平成2年3年で合計3人の子供に32億円(=2億+10億+20億)が振り込まれました。
その資金で借金返済に使いました。

親は平成8年に亡くなり、その相続税の税務調査でこの32億円が発覚しました。

子は当然贈与税は時効が過ぎたものとして主張しました。
一方、税務署側は、贈与税の申告も無く親から子への立替金として相続財産であるとの認識から課税処分を行おうとします。

この結果、最高裁まで争い子の主張が認められ32億円は贈与税・相続税無しで済みました。
(静岡地裁の判決では、贈与税の申告の有無と贈与が直ちに結びつくものではないという内容でした。)

納税者(子)側は「贈与」であると主張します。贈与税時効なら贈与税課税ができず、
生前贈与加算として相続税の課税価格に加算されることもありません。


2:以下は贈与税の時効が認められなかったケースです。

昭和60年3月に土地115坪と建物について贈与契約書を公正証書で作成しました。
親はこれを子に贈与し子は受諾しました。そして親は子に引き渡しを行いました。

この贈与について、申告を行わず贈与登記も行いませんでした。この結果税務署にも知らされることはありません。

7年の時効を迎えた後、平成5年12月に贈与登記をします。

通達においては、「贈与による財産の取得時期は、書面によるものについてはその効力発生時、
書面によらないものについてはその履行時である。」とされており、
公正証書は信用力があり書面による贈与であることから昭和60年の贈与による財産取得
であるから当然時効であるとして、税務署と戦います。

一方、税務署は昭和60年の贈与ではなく登記日である平成5年12月の贈与とおいう見解とし、
時効にはかからず平成5年の路線価で贈与税の課税処分を行おうとしております。
この場合、贈与税本税1.1億円と加算税が掛かります。

結果として、名古屋地裁の判決は、「本件公正証書は贈与税の負担がかからないように
するためにのみ作成されたものであり、従って本件公正証書(昭和60年)に贈与がなされたものではない。
そうすると本件不動産を贈与したのは書面によらない贈与によるものということになるが、
書面によらない贈与の場合はその履行時(平成5年)に贈与による財産取得があったと見るべきである。」
という内容であり、最高裁までいきましたが、
公正証書で贈与をして時効まで待ちましたがその主張が通りませんでした。

平成5年の路線価水準はほぼ史上ピークであり、そんなバブル路線価で課税された贈与税1.1億円。
ちなみに昭和60年路線価であればバブル以前であり、贈与税はバブル時の何分の1であったと考えられます。

現在の当該土地の路線価評価額は6-7,000万円です。加算税を含めて2倍もの贈与税を払っていました。


以上、贈与税について上記1が時効を迎えたケース、上記2が時効が認められなかったケースです。
どちらも、時効に挑んだものと考えられますが、どちらに転ぶか分からないものです。


京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2014/09/01

  • 相続税・贈与税

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