加速する世界
私が中学生か高校生のころだったと思いますが、地球上のすべてのコンピューターがつながり、自ら考える頭脳を獲得することにより、人間を支配してしまうという映画を見た記憶があります。映画のタイトルも覚えていませんが、この作者の先見が、いままさに現実のものになろうとしています。
ソフトバンクの孫正義氏は、特定の分野、例えば、将棋やチェスでAIの方が人間より強くなったり、天気予報の分野などでは、すでに人間の英知を超えていますが、AGI(Artificial General Intelligence)、つまりすべての分野で全人類の叡智の総和を10倍ほど超える未来はそう遠くないと語っています。
その未来とは、レイカールワルツなどの専門家の意見では2045年ぐらい、孫氏によると、もっと早く、おおよそ10年以内にシンギュラリティ―(技術的特異点)が達成されるだろうという予測をしています。
そして、その未来が実現すると、単純労働はすべてAIに置き換えられ、医療の急速な進化により寿命が延びるなど、仕事の在り方、社会のあり方、生き様、人間関係などあらゆるものが画期的に変わると想像されます。
私が生活の糧としている税理士業務も、その多くがAIに取って代わられることになると思います。
NvidiaのCEOジェン・スン・ファンは「AIが仕事を奪うのではなく、AIを使いこなす人たちによって淘汰される」と言及していますが、その言葉も気休めでしかなく、全人類の叡智の総和の10倍もの英知を身につけたAGIの前では、我々の専門性も限りなくAIそのものに取って代わられるのではないかと考え込んでしまいます。
そうなってくるとAIを使いこなし、AIに追い抜かれるまでの時間稼ぎをしながら淘汰する側に回る。あるいは、AIが現時点で苦手とする創造性を発揮して新しいものを作り出す仕事を手掛けるなどが、当面考えられる変化の先取りとなるでしょう。
また、ビジネスシーンにおいては、ビジョンを語る、リーダーシップを発揮することなども、AIに取って代わられることはありませんから、ビジネススキルの必須アイテムとなるでしょう。
その他、AIが獲得できないものがあるとしたら、それは「心」だと思います。喜怒哀楽や、感情移入、人の温もりなど、こういった分野はAIに取って代わられることはないだろうと思います。
AIを取り込み、思いやり溢れるおもてなしをサービスや商品に付け加えながら、創造的な仕事に取り組むことが生き残る道である。などとつらつら考えながら、予測が難しい加速する世界に身構えている今日この頃です。
2024年9月3日
アイネックス税理士法人
代表 川端雅彦
2024/09/03
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