アイネックススタッフ日誌

I-NEX STAFF DIARY

経営の力学 決断のための実感経営論(丸本)

著者の伊丹敬之氏は、バブル崩壊後、企業経営が欧米型の株主重視のガバナンスに傾倒していくなか、著書「日本型コーポレートガバナス」で株主重視の企業統治の限界と、日本では従業員を主体としたガバナンスが必要と説かれた当時としては珍しい学者です。

そんな伊丹教授が、経営幹部・経営者を対象に「経営学」をより実践的に記したのが本書です。

最近のドラッカーブームの中、日本の経営学者でもっとも実践的で現実的(読みやすいっていうのが本音ですが・・・)な伊丹教授の著書が読みたくなり、図書館で借りた本です。なので発行は2008年11月と新刊ではありませんが、今読んでも参考になることの多い内容でした。



経営の力学—決断のための実感経営論

伊丹 敬之 / 東洋経済新報社




本書では経営を「力学」という少し変わった視点で論じられています。

「力学」とは物理学的には物体間に働く力を言い、意図して行った作用に対して生じる反作用と、その波及効果として生じるプラス効果とマイナス効果を意味するらしいです。

これを経営になぞらえて、経営者が意思決定を行う場面を「組織と人」「市場と戦略」「資本と社会」に分類し、経営者がおこす作用(行動・判断)の反作用(結果・効果)を最大限にし、同時に波及効果がプラス若しくは予想しうる範囲のマイナスにとどまる方法を説いています。

「組織と人間」においては、経営の大部分は「他人を通して事をなす」ことから、人の動かし方が書かれています。「人は性善なれど弱し」が著者の持論で、性善でも性悪でもなく、また人は必ずしも合理的な判断をしない、その難しさとその要諦が記されており面白い内容でした。

また、「市場と戦略」においては「マーケット」や「顧客の声」を重視することの危うさ、企業は常に潜在的なニーズ発掘に努めることが求められる(ドラッカー的に言えば顧客創造かな・・)が説かれており、その具体例としてソニーのウォークマンの開発があげられている点が分かりやすかったです。

大学教授が書いた経営学の書籍としては非常に面白く読みやすい内容ですが、ハウツー本ではないので、明日から使える○○は書いていません。ドラッカー同様、あとからジワっと利いてくる本ですね。



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2010/04/05

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