個人投資家の株式投資リスクが軽減に!!【所得税】

2009年06月11日更新

Ⅰ 上場株式等の譲渡損と配当との損益通算が可能に!
平成21年税制改正では経済金融情勢が悪化していることから、金融・証券税制の見直しが行われ、上場株式等の譲渡損と配当との損益通算ができるように損益通算制度が創設されました。さらに、損益通算してもなお、上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合、一定の要件の下、翌年以後3年間にわたり、各年分の申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額から控除することができます。ただし、これは平成21年分以後のものから適用となります。


Ⅱ  対象となる所得等
上場株式等の譲渡損失
 ・その年の上場株式等の譲渡損失の金額
 ・その年の前年以前3年内の各年に生じた上場株式等の譲渡損失の金額
  (前年以前に既に控除したものを除きます。)
上場株式等の配当所得
  その年の上場株式等に係る配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限ります。)


Ⅲ 上場株式等の譲渡損益について
株式等の譲渡所得等は「申告分離課税」となっており、原則として確定申告により納税することになります。また、一般口座とは別に設けられる特定口座には、証券会社や金融機関などが投資家に代わって譲渡損益等を計算し納税する「源泉徴収ありの特定口座」と、譲渡損益の計算のみを行う「源泉徴収なしの特定口座」とがあります。
【源泉徴収ありの特定口座の源泉徴収税率】
~2011年12月31日            2012年1月1日~
10%(所得税7%、住民税3%)     20%(所得税15%、住民税5%)


Ⅳ 上場株式等の配当所得について
国内上場株式の配当金については、配当金受け取り時に一定の税率で所得税および住民税が源泉徴収されます。また、金額に関係なく確定申告不要の特例の対象となっているために源泉徴収だけで課税関係は終了することができます。
ただし、国内上場株式等の配当所得は、確定申告不要の特例の対象ですが、2009年以降は、総合課税と申告分離課税を投資家が選択することができます。

a.総合課税
総合課税とは、給与所得など他の所得と合算した課税所得金額に対して課税されます。税率は、超過累進税率(5%~40%)となっており、課税所得の金額によって異なります。総合課税を選択し、確定申告をすると、配当控除の適用を受けることができます。

b.申告分離課税
申告分離課税とは、他の所得と分離して配当所得に対して税率を掛けて、税額を計算します。申告分離課税を選択すると、配当控除の適用は受けられません。

c.まとめ
         確定申告をする      確定申告をする        確定申告をしない
         総合課税を選択      申告分離課税を選択     申告不要制度適用

税率        累進税率       *下記源泉徴収税率    *下記源泉徴収税率

配当控除       あり               なし              なし

上場株式等の
譲渡損失との     なし               あり               なし
損益通算 

    *…所得税 7%(15%)、地方税  3%(5%) 
      平成23年1月1日以後に支払を受けるべきものについては、( )内の率になります。


Ⅴ 損益通算の適用方法
平成20年以前分
  適用なし
平成21年度分
  配当金や分配金を申告分離課税として確定申告する必要があります。
平成22年度以降分
  申告による方法以外に、「源泉徴収ありの特定口座」で配当金などを受け入れれば、
  口座内で損益通算ができるようになりますので、確定申告が不要となります。


Ⅵ 計算例
平成21年中に配当所得50万円あり、その年に上場株式の譲渡損が100万円あった場合。
申告分離課税を選択した場合、配当による税額は5万円(50万円×10%)となります。また、上場株式等譲渡損失と損益通算ができるため、配当所得の課税所得は0(配当所得50万円-譲渡損100万円)となり、5万円が還付されることとなります。また、譲渡損失のうち損益通算後に残った50万円を、翌年以後3年間にわたり、各年分の申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額から控除することができます。



よく分かる!確定申告基礎知識!~PART2~【所得税】

2009年02月23日更新

今回は忘れがちな確定申告の注意点について、解説します。

1 住宅ローン控除の住民税控除


(1)内容
住宅ローン控除は初年度は確定申告が必要ですが、
確定申告した年分の翌年以降の年分については、年末調整のみで確定申告をする必要はありません。
ただし、次の要件をすべて満たす方は市町村へ申告を行うと住民税の控除が受けられます。

(2)要件
①平成18年以前に住宅ローン控除の申請をした。
②源泉徴収票の源泉徴収税額の欄が「0円」となっている。
③源泉徴収票の摘要欄に「住宅借入金等特別控除可能額 XXX円」と表示されている。

これらの方は、納付すべき所得税額<住宅ローン控除可能額
のため住宅ローン控除を最大限受けられていません。
そのため、お住まいの市町村に申告することでその受けられなかった部分を住民税からさらに控除できます。

なお、申告期限は所得税の確定申告と同じ平成21年3月16日までです。
各市町村により様式が異なりますので、お住まいの市町村のHPもご参照ください。


2 ふるさと納税による寄付金控除


(1)内容
ふるさと納税とは,都道府県・市区町村に寄附をした場合に,
寄附をした金額の5千円を超える一定の金額について,所得税と住民税について控除を受けることができるという制度です。

(2)要件
①自治体に5,000円超の寄付を行ったこと。
②確定申告を行うこと。

(3)注意
この制度は確定申告が必須要件です。
各自治体が特産品等を配るということでも話題になった制度ですが、
寄付を行ったからといって、自動的に控除が受けられる制度ではありませんのでご注意ください。


3 雑損控除


(1)内容
雑損控除とは、災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。

(2)要件
①資産の所有者が、納税者又は家族であること
②その資産は生活に通常必要な住宅、家具、衣類などであること
③災害、盗難、横領のいずれかによる損害であること

(3)注意点
上記③に掲げるとおり、この制度は災害、盗難、横領のいずれかによる損害しか対象とならず
詐欺や恐喝によって受けた損害は、控除対象となりません
したがって、昨今頻発している振り込め詐欺やオレオレ詐欺による被害は、控除対象ではありません。



よく分かる!確定申告基礎知識!~PART1~【所得税】

2009年02月17日更新

平成20年分の確定申告が始まります。

確定申告とは、その年中の所得について確定した金額を計算し、その所得金額に対する税額を算出して、納付税額を確定させるとともに、すでに納付した源泉徴収税額や予定納税額などの総額と比べて、精算するための手続です。

今年は2月16日から3月16日までの間に申告と納税をすることになっています。


■確定申告をしなければならない人とは?

サラリーマンの方の多くは、「年末調整」により所得税が精算されていますので申告をする必要はありません。しかし、次に当てはまるような方は、申告をしなければなりません。

(1) サラリーマンで次のいずれかに該当する方
① 給与の収入金額が2,000万円を超える方
② 2か所以上から収入がある方で、年末調整をされていない方
③ 平成20年中に医療費が多額にかかった方
④ 退職金を受け取った方で、所得税の精算が済んでいない方   など
 
(2) 新たに住宅を購入された方や、一定の増改築をした方で、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を受ける方

(3) 年金をもらっている方で所得税の精算がすんでいない方

(4) ご自身で事業(商売)をしている方

(5) ご自身でお持ちの不動産を貸している方

※他にもありますが、詳しくは国税庁HP等でご確認下さい。

 
■確定申告で納めすぎた税金が返ってくる!?

上記に該当せず、確定申告の必要がない方でも、次のような方は、確定申告をすることで納めすぎた税金が還付されます!この申告を還付申告といい、その年の翌年の1月1日から5年の間、申告することができます。
是非ご確認ください。

(1)多額の医療費を支出された方

(2)年の途中で退職し、年末調整を受けておられない方

(3)国・地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、寄附をされた方

(4)災害や盗難などで資産に損害を受けた方    など


~弊社HP内の 確定申告ナビもご覧下さい!~



H21年度税制改正 Part2【所得税】

2008年12月22日更新

住宅・土地税制が減税の最大の柱
12月12日に決定された09年度与党税制改正大綱は、土地・住宅・車の購入を促す等の景気刺激色の濃い内容となりました。今回は土地・住宅税制をメインにご紹介します。

1 最大600万円の住宅ローン控除が可能


  (住宅借入金を有する場合の所得税額控除)

●今年12月31日で終了予定だった住宅ローン控除が、控除額を過去最大の600万円に拡大され、5年延長

 一般住宅の場合、年末借入金残高の原則1.0%を所得税から控除することができ、最大5年間で500万円控除可能です。

 さらに長期優良住宅(200年住宅)なら、控除率が1.2%に引き上げられ最大5年間で600万円控除可能です。

 但し、これらの減税額上限は、一般住宅の場合平成22年末までに、200年住宅の場合平成23年末までにそれぞれ入居した人を対象とし、それ以降入居した場合には上限額が段階的に引き下げられます。

●すでに購入していても大丈夫
平成21年1月以降に入居する人が対象になります。

●住民税からも控除可能
減税額が所得税額を上回った場合には住民税からも控除できるようになります。


2 所得税額の特別控除の創設


  (自己資金で200年住宅を新築する場合等)

 200年住宅を自己資金で新築し、平成23年末までに入居した人は一般住宅より余分にかかった費用(最大1,000万円)の10%を所得税から控除できます。

 平成22年末までに省エネ改修工事やバリアフリー改修工事をした人は工事費用の10%を所得税から控除できます。但し、工事費用には200万円又は300万円の上限があります。

3 土地売却時の非課税措置新設


      (土地税制)

  個人又は法人がH21年平成22年に土地を購入し5年を超えて譲渡した場合の当該譲渡益について1,000万円の特別控除制度が創設されます。

★次回のお知らせ  
平成21年度税制改正Part3では、中小企業対策税制・自動車税制についてお知らせします。



年末調整 part2【所得税】

2008年12月02日更新

前回のpart 1では20年度の改正点や年末調整の基本的な事項を紹介しましたが
part 2では年末調整の具体的な流れとチェックポイントを中心に紹介いたします。

年末調整の流れ

<①所得控除額の確認>


 年末調整を正しく行う為には正確に所得控除額を計算しなければなりません。
その為、年税額の計算を行う前に各人に適用される控除の種類や控除額、必要書類の確認を行いましょう。

<check>

□本人・・・障害者、寡婦、特別の寡婦、寡夫、勤労学生に該当していませんか?
□配偶者、扶養者、障害者・・・70歳以上に該当していませんか?
□扶養者・・・同居している70歳以上の親に該当していませんか?
□配偶者控除と配偶者特別控除のダブル適用はしていませんか?
□配偶者控除・・・配偶者の合計所得金額が38万円以下になっていますか?
□社会保険料控除・・・国民年金保険料には保険料納付証明書がついていますか?
□生命保険料控除・・・一般と年金で区別されていますか?証明書はありますか?
□損害保険料控除・・・対象は地震保険料控除、長期の損害保険料になっていますか?

<②本年分の給与金額と徴収税額の計算>


 具体的な計算事務のはじめとして、月々の支払った給与の金額と源泉徴収税額を各人別の「平成20年分給与所得に対する所得税源泉徴収簿」によって集計し、それぞれ年間の合計額を集計します。

<check>
給与に含めるもの
□今年中に支払が確定した給与等で未払いのもの
例)年末賞与の一部を来年に分割払い → 賞与の全額が今年の給与の金額となります。
□途中入社の人の前職の給与

給与に含めないもの
□通勤定期代またはそれに代る通勤手当 → 100,000円(消費税込)以下の金額
□通常の勤務時間外における日宿直料 → 4,000円以下の金額

<③課税給与所得の計算>


 ②により集計した給与の総額から給与所得控除後の給与の金額を求めます。その後、①により確認した所得控除額を差し引いて課税給与所得金額を計算します。
 
<check>
□早見表「給与所得金額の算出表」を使いましょう!
□給与の総額が660万円以上の場合は、算出表の計算式で計算してください。

次は、年税額の計算からの流れを紹介します。

<④年税額の計算>


 ③により計算した課税給与所得金額を基にして「平成20年分の年末調整のための所得税額の速算表」によって所得税額を求めます。

<check>
□定率減税は廃止されています。
□所得税の税率は、平成20年分を適用していますか?
□算出税額から住宅借入金等特別控除額を控除していますか?
□引ききれなかった住宅借入金等特別控除額があった場合、源泉徴収票の摘要欄に住宅借入金等特別控除可能額の記載はありますか?
□年調年税額は100円未満を切り捨てたものとなっていますか?

<⑤過不足額の計算と精算>


 ②により集計した徴収税額の合計額と④により求めた年調年税額とを比較して過不足額を計算し過納額は還付し、不足額は徴収して精算します。 
 尚、精算の結果納付することとなった税額は原則、翌年1月10日に納付します。
 納付額がゼロでも、納付書には納税額「0」と記入して提出して下さい。

<check>
□過納額の還付(源泉徴収税額>年税額)
□不足税額の徴収(源泉徴収税額<年税額)
□12月の源泉徴収額を算定していますか?

※不足額が大きい場合、分割徴収が可能となる場合があります。

<⑥源泉徴収票の交付、提出>


 年末調整の計算が終ったら、各人別に作成した源泉徴収票を次のとおり分類します。

<Check> 
□本人交付用  1枚(交付期限:1月31日)
□市町村提出用 2枚
□税務署提出用 1枚(年収 500万円以下 役員:150万円以下は提出不要です。)
 次に、税務署、市町村へ次の書類を提出します。(提出期限:1月31日)

<Check>
□事業主の所轄税務署へ・・・法定調書合計票+支給状況内訳書+源泉徴収票1枚
□本人の住所地の市町村へ・・・給与支払報告書+源泉徴収票2枚
 
※扶養控除等申告書、生命保険料控除等申告書、各種証明書、源泉徴収簿は提出不要です。大切に保管して下さい。

これにて、年末調整は終了です。お疲れ様でした!!