金融支援措置【法人税】

2010年04月01日更新

Ⅰ 金融支援措置


金融支援措置とは、代表者の死亡や退任により事業承継を行うにあたり、経営の円滑な承継のため、
資金が必要になる際に一定の要件の元、金融の支援を受けることができる資金融資制度です。

Ⅱ 金融支援措置の種類


1 中小企業信用保険法の特例

経済産業大臣より『事業承継関連資金が必要な会社である』認定を受けた中小企業者
(以下『認定中小企業者』という。)が事業承継に必要な資金の借入を円滑に行えるように、
信用保証協会の債務保証制度について、これまでの保証限度額とは別に以下の特別枠
が設けられました。

           保証の限度額       特別枠の限度額
普通保険     (2億円以内)        (2億円以内)
無担保保険    (8,000万円以内)     (8,000万円以内)
特別小口保険  (1,250万円以内)     (1,250万円以内)

これにより認定中小企業者は金融機関から融資が受けられやすくなりました。

(1)対象となる融資の資金使途
   ・法人が自社株を買い取るための資金
   ・法人が事業用資産を買い取るための資産
   ・法人の運転資金(下記事由による)
     ①代表者の死亡又は退任後3ヶ月間の売上が前年比80%以下
     ②借入金や未払金の返済のための資金
     ③借入総額のうち借入比率20%以上の借入をしている金融機関から借入条件の悪化、
         借入金額の減少等の支障が生じた
  
2 日本政策金融公庫の特例
    
平成20年10月1日から認定中小企業者の後継者である代表者個人に対して、
事業承継に必要な資金の融資が特例で認められるようになりました。

 (1)対象となる融資の資金使途
    ・承継代表者が他の株主から自社株を買い取るための資金
    ・承継代表者が事業用資産を買い取るための資金
    ・事業用資産を相続、受贈した場合の相続税・贈与税の納税資金       
         

Ⅲ 特例を受けるための手続


①経済産業省に『事業承継関連資金が必要な会社である』認定を受ける申請
②認定日から1年以内に金融機関に対する融資や保証の申込み



エネ革税制【法人税】

2009年10月20日更新

現在、CO 2 の排出量削減に向けた対策や購入資金に対する補助金制度、余剰電力の買取制度など、様々な施策の影響によって太陽光発電設備が注目されています。
そこで、今回は税制面でも優遇されるエネ革税制についてご紹介させていただきます。

Ⅰ エネ革税制とは


  省エネルギーに優れた機器の普及を促進するための税制優遇措置です。
  

エネ革税制の内容


次のいずれかが選択により認められます。
①特別償却
  普通償却のほかに取得価額の30%相当額を限度として損金に算入することができます。
   ※21年度改正により21年4月1日から23年3月31日までの取得等をした設
   備については初年度に即時償却が可能となり、太陽光発電設備は機械装置だけでなく、
   建物附属設備についても全額を即時償却ができるようになりました。
②税額控除(中小企業者等のみ)
  当期の法人税額の20%を限度として、所得税又は法人税の額から取得価額 の7%相当
  額を控除することができる。
  

適用要件


次の要件を満たした場合に限り適用を受けることができます。
 ①青色申告書を提出する個人・法人であること。
 ②1年以内にエネルギー需給構造改革推進設備等を取得し、事業の用に供すること。
  

Ⅱ 太陽光発電の買取制度


  11月1日から太陽光発電の買取制度が始まります。
  

太陽光発電の買取制度の内容


太陽電池を使って家庭で作られた電力のうち自宅で使わないで余った余剰電力を電力会社に売ることができるというものです。太陽光発電は日中の時間帯に限られるので、一般家庭で“儲け”が出るまでには至りませんが、この制度により日本の太陽光発電導入量を拡大することで、エネルギー源の多様化に加えて、温暖化対策や経済発展にも大きく貢献できるものと期待されています。
  

太陽光発電から得られる収入の税法上の所得区分


  一般家庭の場合・・・雑所得
個人事業者の場合・・・原則として事業所得
               (居住用住宅の発電設備から生じる収入は雑所得)



所在不明株式について【法人税】

2009年10月09日更新

所在不明株式とは

株式会社が株主に対して通知又は催告を行っているにもかかわらず5年以上継続して到達せず、かつ、その株主が5年間剰余金の配当を受領しなかった場合の株式を所在不明株式いいます。(会社法197条1項)
 所在不明株式は、競売や市場売却もしくは買取りにより処分することになりますが、この場合の株式会社及び株主の課税上の取扱は以下のようになります。

1.株式発行会社の取扱

 ①競売や市場売却の場合…株式の売却価格は預り金として計上します。
 
 ②買取りの場合…資本金等の額及び利益積立金を減少し、買取代金を未払金として計上します。

 いずれにせよ所在不明株式はそもそも所在不明株主のものであり、競売等は代理で行ったに過ぎないので課税所得は発生しないのです。
 その後においては、債務の消滅時効が成立した際には預り金や未払金を雑収入として処理することになります。消滅時効の成立は10年間行使されないことにより生じることになります。(民法167条1項)

2.所在不明株主が個人の場合

 ①競売や市場売却の場合…譲渡所得となります。

 ②買取りの場合…①と同様に譲渡所得となります。ただし、交付を受けた金銭の額等
             が会社の資本金等の額等のうち当該株式に対応する部分の金額を
             超える部分の金額はみなし配当として配当所得となります。

 なお、譲渡所得やみなし配当所得の収入に計上すべき時期は、競売等の日や会社による株式の取得日となります。


3.所在不明株主が法人の場合

 ①競売や市場売却の場合…譲渡利益や譲渡損失額を益金または損金に算入します。

 ②買取りの場合…譲渡利益や譲渡損失額を益金又は損金に算入します。交付を受けた
             金銭の額等が資本会社の資本金等の額等のうち当該株式に対応する
             部分の金額を超える部分の金額はみなし配当とします。

 これらについては、競売等が行われた日もしくは買取りが行われた日の属する事業年度の譲渡損益とします。


次回の予告
 今回は所在不明株式について紹介させて頂きました。
次回は、エネルギー需給構造改革推進投資促進税制(エネ革命税制)についてします。


                                                           以上



企業再生税制(平成21年度改正)【法人税】

2009年06月09日更新

景気下ブレが本格化する中で、企業再生税制がさらに使い易いものとなるよう平成21年法改正が行われました。企業を再建してゆく過程で受けた債務免除益等にストレートに課税されないで済むような特例を定めています。

一、会社更生法・民事再生法を使った企業再生

1.従来からの内容

債権者から債務免除をうけた場合、会計上は債務免除益が計上されます。このように資産の評価替えをした場合、法人税法は原則として評価損益の益金算入・損金算入を認めていません。しかし、会社更生法・民事再生法を使って企業再生をする場合には、例外的に債務免除益が益金に算入され、資産の評価損も損金に算入されます。その結果、企業再生を目指す会社は、債務免除益と資産の評価損を相殺することにより、債務免除益等に対する課税を回避することができます。

2.今回の改正点

 H21年度改正により、評価損を損金算入できる「資産」に売掛金・貸付金等の債権も含まれることとなったため(法33条2項)、従来よりもさらに債務免除益等に対する課税回避を行いやすくなりました。

二、法的整理に準ずる私的整理を使った企業再生

1.従来からの内容

 会社更生法・民事再生法といった法的手続きを取ることによって“事実上の倒産”という烙印を押されることを避けるために私的整理で会社を再建したいという場合もあります。そのような場合について定めたのが「その他これに準ずる政令で定める事実が生じた場合」です(法25条3項・33条3項、法令24条の二)。

2.今回の改正点

 しかし、実際にはこの適用要件が厳しすぎたため、今回の改正で適用要件が緩和されました(法令24条の二)。

① 第三セクターの再建を進めやすくするために、債務免除者に地方公共団体が加えられました。

② 債権者側で直接の債権放棄をすることが難しい場面での企業再建をしやすくするために、DES(債務の株式化)を行った場合も「債務免除等」に含まれることになりました。

③ 中小規模の企業再建を促進するために、専門家関与要件が3名から2名へ緩和されました。

④ さらに、中小規模の企業再建を促進するために、評価損益の計上対象資産にかかる評価差額の最低限度額を1,000万円としている点について、これを100万円とする特例が創設されました。



機械装置の新耐用年数適用に伴う諸問題を徹底解説!【法人税】

2009年06月01日更新

20年税制改正により「機械装置」はすべて「○○業用設備」として定められました。
それに伴い、機械装置もそれぞれに対応した、耐用年数の変更が求められます。

今回は、変更処理に伴い、その判断に迷われると思われる事項につき解説いたします。

Ⅰ償却方法の異なる機械装置が新区分により同一種類になった場合の償却方法

耐用年数の大括り化に伴い,種類の異なっていた設備が同一の種類になった場合には,それぞれ次のように取り扱われます。

(1)種類の異なる設備に同一の償却方法を選択している場合・・・選択している償却方法を選定したものとみなされる

(2)種類の異なる設備に別々の償却方法を選択している場合・・・いずれかの償却方法に統一するため届出書を提出する

なお,その届出をしなかった場合には,法定償却方法を選定したものとみなされます。したがって,旧定率法または定率法に統一するのであれば,届出は要しません。

例)

旧区分
A設備・・・定額法
B設備・・・定率法

新区分(届出書は提出していない)
C設備(旧A設備と旧B設備)・・・定率法

Ⅱ耐用年数が改正された場合の中古資産の耐用年数の見積り替えの可否

中古資産の耐用年数の見積方法には,①見積法と②簡便法(法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%とする方法)とがあります。
中古資産の取得時にいずれの方法を適用していたかにより,それぞれ次のように取り扱われます。

(1)見積法を適用している場合

その改正後の法定耐用年数を基礎として使用可能期間の見積り替えをすることはできません。
ただし,改正後の法定耐用年数が現に適用している耐用年数よりも短いときは,改正後の法定耐用年数を適用することができます

(2)簡便法を適用している場合

法定耐用年数が短縮されたときは,改正後の法定耐用年数を基礎に簡便法により見積り替えをすることができます。
ただ,見積り替えをする場合の経過年数は,法定耐用年数が改正されたときの経過年数ではなく,中古資産を取得したときの経過年数によることに留意しなければなりません。

(3)耐用年数が長くなった場合

法定耐用年数が短縮されたときは見積り替えができる旨は定められていますが,法定耐用年数が長くなった場合の取扱いはありません。

しかし,法定耐用年数が長くなった場合に見積り替えをすると,見積り耐用年数が長くなります。
これは,上述したとおり,簡便法を適用する場合の「経過年数」は,あくまでもその中古資産を実際に取得したときまでの経過年数によらなければならないからです。

例)

従来10年であった耐用年数が11年になり,中古資産の取得時の経過年数が6年,法定耐用年数改正時の経過年数が8年の場合

改正前

(10年-6年)+6年×0.2=5.2年→5年

改正後

(11年-6年)+6年×0.2=6.2年→6年

(11年-8年)+8年×0.2=4.6年→4年とすることはできません。

尚、簡便法を適用している場合の見積り替えは強制適用ではありませんから,法定耐用年数が長くなった場合には,見積り替えをしないことが得策です。

(4)見積り替えの時期

簡便法を適用していた場合の耐用年数の見積り替えは,改正後の耐用年数省令の規定が適用される最初の事業年度において行う必要があります。

Ⅲまとめ

21年3月決算法人より、本格的に機械装置の新耐用年数への変更処理が行われており、実務家の方々も、その対応に追われているかと思います。
ただし、変更処理については、上述したように、税務上の有利不利の判断が必要となる場面があるため、今後もその対応には注意を要します。